土地売却時の境界線の調べ方は?測量の費用相場についても解説

親から相続した土地や長年所有している土地を売却したいけれど、隣の敷地との境界線がどこにあるのかわからず、手続きを進められずにお困りではありませんか。
境界線が不明確なまま売却してしまうと、購入者や隣人との間で後々になって越境や所有権を巡る深刻なトラブルに発展するリスクが高く、最悪の場合は損害賠償に発展することも珍しくありません。
本記事では、土地売却に欠かせない境界線の基礎知識をはじめ、公図などを用いた正しい調べ方や、専門家に依頼した際にかかる費用の相場とその抑え方について解説します。
将来のトラブルを未然に防ぎ、安心・安全に土地の売却を成功させたいとお考えの方は、ぜひご参考になさってくださいね。
土地の境界線とは?

土地を売却する際におさえるべき境界線には、主に筆界と所有権界の2種類があります。
まずは、土地の境界線に関する基本用語と、明確にする必要性について解説します。
筆界と所有権界の違い
筆界は、登記上の土地を区切る公的な線で、法務局の記録をもとに確認されます。
隣地の方と話し合って合意しても、分筆や合筆などの手続きをしなければ、筆界そのものは変わりません。
一方の所有権界は、塀や生垣などを目印に、所有者同士が使い方として認識している線です。
本来は一致するものですが、建て替えや世代交代で塀を作り直した結果、いつのまにかずれることもあります。
売却時に重視されるのは筆界なので、見た目の境界だけで判断するのは避けましょう。
公的な資料と現地の状況を照らし合わせ、買主へ正確に説明できるよう、早めに違いと根拠を把握しておくと安心です。
境界不明の売却リスク
境界があいまいなまま売却を進めると、買主が土地の広さや使える範囲を正しく判断しにくくなります。
あとから塀や屋根、雨樋、庭木などの越境が判明すると、隣地所有者との話し合いが必要になるかもしれません。
相続した土地では、以前の口約束が家族や近隣に共有されておらず、認識の違いが表面化する場合もあります。
また、そのまま契約すると、説明不足を理由に買主とのトラブルへ発展するおそれがあります。
境界確認書がそろっていれば、売主と買主が土地の範囲を共通認識として持てるため安心です。
さらに、金融機関への説明もしやすくなるため、売却を円滑に進めるうえでも、事前の確認と資料整理が大切です。
筆界特定制度の利点
隣地所有者との話し合いだけで筆界を判断しにくいときは、筆界特定制度の利用を検討できます。
これは、法務局の筆界特定登記官が、登記資料や現地調査の結果を踏まえて筆界の位置を特定する制度です。
当事者だけで悩むよりも、専門的な視点から資料や現況を整理できる点が大きな利点です。
また、裁判のように対立を深めにくく、近隣関係に配慮しながら解決を目指すことができます。
特定された筆界は、公的な判断として記録に残るため、売却時の説明資料にも活用できます。
なお、資料集めや調査に時間がかかる場合もあるため、売却を考え始めた段階で早めに相談するのがおすすめです。
土地売却前の境界線の調べ方

前章では、境界線を明確にする重要性について述べましたが、具体的な調べ方も把握しておくことが大切です。
ここでは、売却前にご自身で境界線を確認するための、3つの手順について解説します。
法務局での資料取得法
境界線を調べる第一歩は、法務局で公図と地積測量図を取得することです。
公図では、土地の位置や形、隣地や道路とのつながりを確認でき、地番を手がかりに周辺関係を整理できます。
一方で、地積測量図には、面積や辺の長さ、境界点などが記載されているため、現地確認の手がかりになります。
取得方法は、法務局の窓口や郵送、登記ねっとを使ったオンライン請求が主な方法です。
オンラインなら、窓口へ行く時間を省けるため、忙しい方でも取り寄せやすいでしょう。
図面を見る際は、縮尺や方位、作成年代にも注目し、古い図面だけで判断せず専門家へ相談すると安心です。
図面と現況の照合手順
資料をそろえたら、図面に書かれた境界線と現在の現地状況を照らし合わせます。
区画整理がおこなわれた地域では、役所で換地確定図や街区確定測量図を確認できる場合があります。
また、地籍調査が完了している地域なら、地籍図も境界点や辺長を知るための参考資料として役立つでしょう。
照合するときは、塀や道路、側溝などの位置と、図面上の辺長や境界点を見比べます。
一部だけで判断せず、複数の境界点が自然につながっているかを全体で見ることがポイントです。
なお、工事や分筆の影響で境界標が見えないこともあるため、記録と現況のずれを慎重に確認しましょう。
現地確認と立会依頼
資料だけではわからない部分があるため、実際に現地を確認することも大切です。
古い杭や金属標、ブロック塀の基礎、庭木の位置などを見ながら、図面との違いを整理します。
気になる箇所は写真に残し、取得した資料と一緒にまとめておくと、後の相談や買主への説明がスムーズです。
そのうえで、土地家屋調査士に依頼し、隣地所有者へ立ち会いをお願いする流れが一般的です。
また、依頼前に売主自身が挨拶し、売却に向けた確認であることを伝えると、相手も協力しやすくなります。
遠方に住む方には手紙などで丁寧に連絡し、日程調整を無理なく進めながら、やり取りの記録も残しておきましょう。
境界確定測量の費用相場と費用を抑えるコツ

ここまで、境界線の基礎知識と調べ方を解説しましたが、専門家に依頼する際の費用もおさえておきましょう。
最後に、境界確定測量にかかる費用相場と、費用を抑えるためのポイントについて解説します。
測量種類別の費用相場
測量には、主に現況測量と確定測量の2種類があり、目的によって費用や期間が変わります。
現況測量は、今ある境界標や塀などをもとに、土地の形や面積を把握するためのものです。
ただし、隣地所有者の合意までは求めないため、売却前の検討や建築計画の参考資料として使われます。
費用は、一般的な住宅地で10万円~25万円ほど、期間は1週間~2週間程度が目安です。
一方で、確定測量は、隣地所有者の立ち会いを経て筆界を確認する測量で、30万円~80万円ほどかかります。
完了まで2か月~3か月ほどかかることもあるため、売却予定日から逆算して余裕を持って準備すると安心です。
見積もりと費用変動要因
土地家屋調査士へ依頼する際は、見積もりの内訳を丁寧に確認しましょう。
一般的には、資料調査や現地測量、境界立ち会い、境界標の設置、測量図の作成などが含まれます。
費用は、土地の広さや形状、境界点の数、隣接する所有者の人数によって変わります。
また、公道や水路に接している土地では、行政との協議が必要になり、手続きが増えることもあるでしょう。
手元に過去の測量図や境界確認書があれば、調査の手間を減らせる可能性があります。
そのため、総額だけで判断せず、どの作業にいくらかかるのかを比較し、不明点を質問したうえで納得できる依頼先を選びましょう。
制度利用で費用負担軽減
費用負担を抑えたい場合は、使える資料や制度を早めに確認しておくことが大切です。
隣地との確認が進まないときは、筆界特定制度により、公的な判断を得る方法があります。
申請手数料は、固定資産税評価額をもとに計算され、多くは数千円~数万円程度です。
ただし、別途測量が必要になると、数十万円の費用がかかる場合もあります。
過去の地積測量図があるなら、記載された調査士へ相談すると、作業を効率化できるかもしれません。
見積もりを取り、売却後に譲渡費用として計上できるかどうかも、税理士などへ確認しておきましょう。
まとめ
土地を売却する際は、公的記録に基づく筆界を事前に明確にすることが重要で、境界不明のまま進めると売却後のトラブルを招きます。
境界線は、法務局で公図や地積測量図を取得して現地と照合し、専門家の協力を得て隣地所有者と立ち会って確認します。
確定測量の費用は30万円~80万円程度が相場で、筆界特定制度の利用や過去の依頼先への相談で、負担を抑えられるでしょう。

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